2022予算委員会総括質疑(質問)

質問させていただきます。文京永久の会、高山泰三でございます。長らく続いた総括質疑も私で終わりですので、いましばらくお耳を貸していただければと思います。

 私の質問を端的に言えば、令和4年度、令和5年度、令和6年度、令和7年度と、文京区の財政見通し、結構明るいんではないかと、こんなお話をしたいと思います。ですので、そうだよねと、明るいよねと分かっていらして、どんどん積極的にやろうと思っている方はもうほとんど聞かなくてもいいような内容なんですが、日本経済暗いよと、寒いし、ウクライナもあるしと思っているような方は是非、お耳を傾けていただければと思います。

 質問に入ります。感染予防でマスクを着用しての予算審査特別委員会ももう3回目ということになりまして、時の流れは早いものでございます。改めて、この丸2年間、新型コロナウイルス感染症対策に汗を流し、仕事終わりの酒場での1杯も自粛して日々変化する状況に対処し、新しい施策に挑戦してくださっている区役所の職員のお一人お一人に、一住民として感謝をしたいと思います。ありがとうございます。またお顔は見えませんが、寒い中、隣の第二委員会室で質疑をお聞きいただいている理事者の皆様にも、ありがとうございます。感謝を申し上げます。

 さて、今回の総括質疑も密を避ける観点から手短にまいります。個別の細かい項目については、お陰さまで他の会派の皆さんがかなり聞いてくださいました。ですから、総括質疑から外しまして、その分、他の款別質疑のところで、ねっちり聞いていきたいと思っておりますので、お楽しみは後ほどということになります。

 今年の質問は1点のみ、文京区の財政見通しについてということになります。昨年の予算審査特別委員会において、私、文京区の歳入見通しがいささか堅実過ぎるということを伺いました。一昨年、2020年5月に我が国の景気は既に底を打っていて、当面は改善が続くだろうというのが私の当時の見立てでありまして、毎月勤労統計とか、あと文京区の税収構造などから推察をして、税収の落ち込みはほとんどないのではないかと、こういう予想をいたしました。当初予算と補正後の結果を比較すると、特別区税が12億円上振れ、特別区交付金は40億円上振れ、地方消費税交付金は12億円上振れという結果となりまして、手前みそなんですが、予測がおおむね正しかったと言えると思います。

 私は基本的に楽観主義で万年強気ということでありまして、昨年は、ずっと高めに振っていたバットがたまたま当たったと、これだけかもしれませんけれども、来る令和4年度の歳入についても強気の見通しを立てているということでございます。

 今回の予算につきましては、コロナ前の令和2年度決算と同水準という歳入の規模を見込んでおりまして、令和3年度と比べると過度に保守的とは言えないと思います。また、地域活動団体への手厚い補助金など社会経済活動の復活に向けて、しっかりとした予算を組んでいただいているなと感じております。そのことにも感謝を申し上げておりますので、今のところは予算に賛成して、着実な執行をお願いしたいなという腹積もりでおります。ですから、ただ景気指標をいろいろ見ますと、予想外に伸びる可能性が高いということを示しておりまして、区役所の皆様のより積極的な、一歩踏み込んだ施策展開をお願いしたいということが今回の総括質疑のテーマであります。

 本日は、実はウクライナの政情不安とか、そういったことで日経平均株価も2万5,000円割れてきていまして、率直に言って私も心中穏やかならぬものはあるんですが、令和4年度のみならず令和5年度、令和6年度と財政の見通しが明るいという話をしたいと思います。

 様々な経済統計があるんですが、昨年は、毎月勤労統計という厚生労働省の統計にフォーカスをしましたので、今年は内閣府の景気動向指数に注目をしていきたいと思います。例年、財政課が歳入の予測に使用しているのは、区民税については前年夏、その予算をつくる頃の夏の毎月勤労統計で、財政調整交付金については、東京都が年末に示す当初算定であります。東京都は、恐らく法人企業統計とか日銀短観とかを使って、総合的に判断をしているということと思われます。

 なお、東京都の見込みは、過去の実績やら3月の補正予算で地方消費税交付金が大きく増額されたことなどから推察すると、結構東京都も保守的なのではないかというふうに私も思います。ただ、これはここで聞いてもしょうがありません。東京都の人に聞かないといけませんから質問しませんが、これも私は増えると思います。

 さて、足元の数字を見ると、夏以降に発表された毎月勤労統計、これ大体横ばいで、企業業績のほうはコロナ前の水準にようやく戻ってきたという程度なんです。だから、そんな明るいという感じではないんですね。ですけれども、2月15日に発表された、昨年10~12月期のGDPが年額換算で541兆円、コロナ前の2019年の10~12月期が542兆円ということで、1兆円及んでいませんけれども、大体一緒ということですから、文京区の予算も2019年と今年の予算を比べて、大体一緒ぐらいを見込んでいるということですから、妥当な水準にも思います。ただし2019年の10~12月期というのは、10月に消費税の値上げがありましたから、そこでどんと四半期で落ち込んでいるんですね。それを基に比較していますから、本来はそれより回復しないといけませんから、足元の経済自体はちょっと冴えないよねという状況だと思います。

 一方でこれから大事なのが、内閣府が発表している景気動向指数というものですね。これが大きな回復を示しているということが本日の私の主張の肝です。景気動向指数というのは、いろいろな経済指標を組み合わせて、その動きを指数化したものなんですけれども、三つに分かれています。景気を先取りして動く先行指数というのと、景気そのものである一致指数、それと、それより少し遅れて動く遅行指数、この三つから構成されているんですね。先行指数というのは、景気より先にいきますから、例えば金利とかマネーストック、あと在庫が増えている減っているでいうと、減っている逆サイクルですね。あと機械受注など11の系列。景気そのものである一致指数というのは、日本は製造業ですから、まずはやっぱり鉱工業生産、商業販売額、営業利益などの10の系列ですね。景気より更に遅れて動いてくる遅行指数というのが常用雇用指数、あと法人税収入ですね。あと家計の消費支出、それから決まって支出する給与、それから、失業率を逆メモリにしたものとかって、そういうので構成されているわけです。

 ここで御注目いただきたいのが、今言ったとおり、区の歳入と関係のあるものというのは、全部これ遅行指数なんですね。遅行指数に含まれています。そこに注目していただきたいと思うんです。例えば、特別区税というのは前年度の所得によりますから、失業率とか給料の影響を受けますね。ですから遅行指数に更に遅れて入ってくる。特別区交付金というのは、法人税の収入によって変動しますから、これは遅行指数と同じということになります。

 一般に、景気の上がり始めとか下がり始めとか、いわゆる景気の山とか谷、この転換点を見付けるというのは、一流のエコノミストであってもかなり難しいんですね。しかし、景気変動は、1回動き出すとうわっといって、がっと下がるということで、一方に動き出すと継続的、累積的に動く特性がありますから、遅行指数と一緒に動く文京区の税収というのは、2年とか3年の単位であると、結構その先行指数や一致指数を見てから、大きな方向は予測できるということが言えると思います。

 足元の動向です。今日も発表されているんですけれども、2月7日に内閣府が発表した12月のデータによると、足元の景気基調判断は足踏みをしているということになっております。私が注目しているのは、さっき言った、景気の先行き、先行指数と景気そのものの一致指数、これの差なんですね。

 この先行指数が12月のデータだと104.3ポイントで、一致指数が92.6ポイントなんです。その差が11.7ポイントもあるんですね。これはいきなり言われてもぴんとこないかもしれないけれども、物すごく大きい差なんです。

 この差が大きくなったのを過去に遡ると、2011年3月から7月にかけて、それから、2013年1月から7月にかけて、この頃も同じぐらい差が大きかったです。これってどういう時期かということなんですが、2011年の3月というのは、東日本大震災くらいからの復興のときですね。もう1回は、2013年のアベノミクスがどんとロケットスタートしたあの時期です。いわゆる、そこから考えると、今もそうですから、いわゆる夜明け前が一番暗いというときが正に今なわけです。2011年は、残念ながら私もいましたけれども、民主党の菅直人さんとか、野田佳彦さんとかが極端な緊縮財政をやったんで、景気がぽきっと折れちゃいましたけれども、2013年からの復活というのは御記憶にあると思います。翻って、今回、2021年3月頃から今まで、ずっとその先行指数と一致指数の大きな差というのが続いているんですね。その分、要するに景気が回復したときのエネルギーがたまっているんではないかというのが私の推論なんです。

 更に視点を広げて世界経済に目を移せば、コロナに対して規制を解除して、経済再開にかじを切る国々と日本とか中国みたいに強い規制を続けている国で、経済の回復に大きな差が生じております。経済再開にかじを切った欧米、特に米国なんかでは、今や景気の過熱、インフレが社会問題になりつつあるということは御存じだと思います。

 一方、日本は残念ながら、まん延防止措置や緊急事態とか、割と強い規制を好む世論がありますので、経済回復が遅れているということになります。これは良くも悪くも周回遅れということになりますので、経済再開さえすれば今のアメリカのような力強い回復が期待できるということになります。

 実際に総務省が2月8日に発表した2021年の家計調査によりますと、勤労者世帯の平均貯蓄率が34.2%ということで、2年連続で35%みんな貯蓄しているというわけですね。内閣府によると、家計にはコロナ前のトレンドから比べて約40兆円、日本のGDP550兆円ですけれども、40兆円もみんな貯金しているということです。世の中の空気がちょっと変われば、かなり急速な回復を見込むことができると私は思っております。個人的な肌感覚で言えば、2013年のアベノミクスの前夜、あの暗かった野田佳彦政権の頃と何か似ているなというような感じを思っております。あくまでコロナの再拡大なかりせばということになりますけれども、これからの日本経済、文京区の歳入の見込みも、かなり明るい見通しが期待できるというのが本日の私の主張です。

 堅実な財政見通しに基づいた運営という文京区の伝統でもありますが、これは文京区の風土にも合っていると思います。住民にとっては非常に安心感があるということだと思いますけれども、過度な萎縮、それで投資が不足していくということは、長期的には自治体経営にダメージを与えかねませんので、今、ウクライナとかオミクロン株とか、いろいろ不安になるかもしれませんけれども、是非積極的な施策展開をお願いしたいと思っております。

 そこで本日の質問ですが、区の中長期的な財政見通し、施策展開の方針をお聞かせいただきたいと思います。

 以上が質問なんですが、時間もちょっとあるんで、足元の感染防止と社会・経済活動の両立について、面白い論考がありましたので御紹介したいと思います。

 昨年の12月3日、日経新聞の経済教室の欄にあった仲田泰祐さんという東京大学の准教授の寄稿記事なんですが、記事では、2021年の第2四半期までのデータなんですけれども、コロナ死者数をもう1人減らすには、経済をどの程度抑制しなくてはならないかを国や地域を分けて計算しています。つまり、コロナ死者数を1人減らすために、どの程度経済的犠牲を払いたいかという記事なんですね。

 それによると、日本は1人当たり約20億円、オーストラリアは約10億円、アメリカは約1億円、イギリスは約5,000万円ということなんだそうです。数字自体に深い意味はないよということで記事はしておきながらも、鳥取県では累計死者5名の中で、GDPが約1,500億円落ち込んでいるということなんですね。毎年130万人がいろいろな理由で亡くなっていまして、コロナ以外の原因による死者数を1人減らすためにどの程度の犠牲を払いたいかというのを、この研究は計算していません。ですけれども、日本の一部地域において計算したような多大な経済損失を、他の原因による死者数を減らすためにも受け入れるなら、経済活動は大きく抑制されるだろうと。例えば、交通事故の死者数を減らすために運転を禁止することをイメージしてほしい。日本の一部地域でいかにコロナ死者数の減少が重要だったのか分かるということが、記事にあります。

 この数字をどういうふうに解釈するかというのは、それはもういろいろな価値観があると思います。でも、2年前は正に未知のウイルスであった新型コロナウイルスというのも、特性が随分分かってきていますし、あくまで私の個人的な見解なんですが、今やっている国のまん延防止措置などの社会的規制というのは少々厳し過ぎるなというふうに感じております。

 1月の日経新聞の調査では、新型コロナウイルス感染症の法律上の区分を見直すべきか聞いたところ、季節性のインフルエンザと同じ扱いにすべきだという回答が60%以上に上ったということだそうです。オミクロン株のまん延もそろそろピークアウトという報道もありますので、徐々に社会・経済が回復して、明るい将来を期待したいところです。

 この2年間、日々刻々と状況が変化する中の正に激動の行政運営であったと推察いたします。この状況に対応するために、議会も、行政も、いわゆる手続論に過度にこだわったり、原理原則を振りかざしたり、そういうことではなくて、やっぱり融通無碍に目の前の目的、その問題を合理的に解決していくと、こういったことの大切さを私はしみじみ感じました。文京永久の会も引き続き、正しさより明るさをモットーの一つとして、明るい予算審査特別委員会にしたいと思っております。それでは、理事者の明快なる答弁に期待をし、質問を終わります。

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