予算総括質疑(質問)2021

予算の総括質疑が行われました。

かなり多くの項目をダラダラ質問する会派も少なくないのですが、コロナですし、正直言って聞いている方もウンザリしているのが明らかなので、手短に1つだけ質問しました。

簡素の美を追求します(笑。


少しでも、行政の心に届くことを期待してます。


以下質問。


文京永久の会の高山泰三と申します。

 令和3年度の予算審査に当たって、会派を代表しまして総括質問をさせていただきます。

 私自身、平素、質問前の口上が大変長いということでお叱りを受けておりますし、今回は緊急事態宣言が延長されて、なおかつ新型コロナウイルス感染症との闘いが続く中での質問ということで、今回の総括質問は簡素にまいりたいと思います。個別の細かい項目につきましては、お陰さまで他の会派の皆さんがかなり細かく聞いてくださいました。日本共産党さんやなんかとはちょっと意見が違うなというところもあるんですが、ともあれ、総括質問から外しまして、その分、款別の質疑のところでねっちりと聞いてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 さて、今回の総括質問で私が質問したいのは、ただ1点だけであります。文京区の歳入の見通し、本当に今後そんなに暗いのかと、落ち込むのかと、こういう点であります。

 先日の2月17日の日経新聞にも、2021年度の特別区税を港区では10%超の落ち込みを見ているのに比べて、文京区は横ばいを見込んでいると。その理由として、2020年度の予算をかなり保守的に見ていたために下げ幅が小さいと、こういうような記事もありました。

 堅実な歳入見通しに基づいた財政運営というのは文京区の伝統であって、住民にとって非常に安心感があるということもあると思いますが、過度に萎縮した財政運営によって、投資が不足したり、長期的な自治体経営にダメージを与えかねないということも一部で懸念があると思います。

 今回の予算案については、財政調整基金繰入金を過去最大級となる約90億円も行うことになっていますから、過度な節約をせず区民の生活を守る、コロナ対策もしっかりやる、学校改築も含めた将来への投資も粛々とやる、こういった区長の意思も感じます。問題は、今後の長期的な展望です。将来の歳入の落ち込みを過度に恐れて、将来のために実施すべき施策、また行政需要に応えられないというものがあるとしたら、これは非常に残念だというふうに思うわけです。

 と私が言うのは、昨年の5月に我が国の景気はもう既に底を打っていて、当面かなり改善が続いていくだろうというのが私の見立てだからです。そうであれば、個人の前年の所得をベースに算出する住民税が中心の特別区の歳入というのは、景気に約1年から1年半遅行しますから、景気循環による税収の減少は足元が、正に今が最悪期ということになります。

 特定財源は、市街地再開発の影響とか、そういったものでぶれますし、そもそも都とか、国の事業とのひも付きですから、一般財源の歳入に議論を絞りたいと思います。

 今回の予算案を見ますと、景気悪化による歳入が減るのが、補正後の決算見込額と比べ、全体でマイナスを見込んでおります。諸先輩方には当たり前かもしれませんが、ざっくりイメージをつかむために、一般財源の内訳をざっくりとおさらいをしていきたいと思います。

 まず、文京区の一般財源を見ると、全体が約700億円、それを分解すると、50%が特別区税で約350億円、30%弱が特別区交付金で約200億円、地方消費税交付金が5%ぐらいで約50億円、残りがその他。ざっくり言うと、毎年大体そんな感じになっています。

 その特別区税を分解すると、均等割が約4.5億円、所得割が約335億円ということで、この所得割の335億円が個人の所得と連動して動くということになります。そして、特別区交付金が200億円、この内訳が、70%が固定資産税、30%が法人住民税で、固定資産税はあまり変化しませんから、その30%の法人住民税が法人の利益と連動して動くということになります。

 この減少を見込んでいまして、今回の予算では、決算見込額と予算案を比較した数字では、特別区税がマイナス11.8億円ということで3.3%の減、特別区交付金がマイナス7.8億円で4%の減ということになっているということになります。

 ここで質問です。この傾向がこれからずっと続いていくのか、はたまたこれが1年だけの一時的なショックであって、歳入は従前の巡航速度に回帰するのか。この文京区の現状認識を教えていただきたいというのが私の質問です。

 もちろん文京区の財政見通しで、景気の影響を受ける部分と、そうじゃない部分があると思います。例えば、国による東京都いじめともいえる税制改正とか、あとふるさと納税の激増とか、いろんな懸念もあるんですが、ここで議論するのは、景気の変動要因だけという話にしたいと思います。

 財源ごとに少し分解して議論を進めます。

 まず、一般財源の約半分を占める特別区税のところです。

 これは、住民の皆さんの前年の所得に課税されるわけですから、遅れて動くということになります。

 今回の予算編成時の区の試算では、令和3年度は所得をマイナス2%と推計していて、この要因で補正後の決算見込額からマイナス10.1億円を見込んで、それに加えて、20代から40代を中心に納税義務者数が600人以上減少しているという要因でマイナス1.7億円。合計でマイナス11.8億円ということになりますが、納税義務者数の減少については、歳入のところでまた別に質問するんですが、ここでは景気要因の部分だけに絞りたいと思います。

 これは、予算編成時の8月の毎月勤労統計から推計しているということを伺っています。その後、数字を、この毎月勤労統計から見ると、実は、まだ前年比マイナスの水準なんですけれども、そのマイナスの幅がどんどん持ち直しの兆候が見えます。例えば、現金給与総額、統計の話なので、もし皆さんあったら、グーグルとかで見るとばあっと出てきますから、見てください。現金給与総額、昨年の5月、6月、7月、8月、それぞれマイナス2.3%、マイナス2.0%、マイナス1.5%、マイナス1.3%ということで、かなり厳しい下落が続いたんですね。

 しかし、直近3月9日公表分の2021年1月の速報値では、マイナス幅が0.8%ということで、その幅がどんどん直ってきていますよね。マイナス幅が縮小傾向ということ。ちなみに12月はマイナス3.0%ということですが、これは上半期の業績が12月のボーナスに反映されますから、そこでがくっと落ちていると、一時的なぶれということになると思います。直近の常用雇用者の数が、一般労働者が前年比プラス1.2%、これに対してパートタイム労働者がマイナス1.1%ということになっていまして、要するにパートタイム労働者だけが減少傾向にあるということになります。

 さらに、この統計を詳しく見ていきますと、業種とか就労形態によって結構差があるということが分かると思います。コロナ禍による所得の落ち込み、これがサービス業とか、飲食業を物すごく直撃しているんですけれども、実は他の業種はあまり影響がないんですね。ということが見て取れるということです。

 雇用形態で見ると、やはり非正規、パートタイムの方が大変落ち込んでいますけれども、正規雇用の所定内給与、これはあまり落ち込んでいないということが分かると思います。

 税務概要から見ると、文京区の納税者のボリュームゾーン、一番税金を納めている方の年収が大体700万円から1,000万円の方が多いですよね。これって、多分正規雇用の方が多いんだろうということで推察できると思います。ということは、文京区の場合は、全体の統計から推計する数字よりも落ち込み幅が少ないんじゃないかというのが私の推論なんです。文京区は、全体が2%落ちますという基で計算していますから、そこが上方修正されるべきなんじゃないかなというのが私の考えです。

 このデータを更に遡ると、賃金の下落の傾向というのは、2019年の1月から始まっているんですね。2019年で、いわゆるアベノミクス景気というのが、戦後の第16景気循環というんですけれども、これが内閣府が2018年の10月というふうに決めましたから、それの3か月後から賃金がどんどん下がってきているということが分かります。つまり、コロナの1年半も前から景気悪化は始まっていて、コロナが最後の駄目押しの局面だったということが理解できると思います。

 次に、一般財源の30%を占める特別区交付金。

 特別区交付金も更に分解して考えたいと思います。

 まず、特別区交付金の70%を占めるのが固定資産税ですね。固定資産税は景気にあまり関係ない項目です。市町村民税法人分、これが特別区交付金の25%、これがダイレクトに景気に影響を受けると。残りが特別土地保有税及び法人事業税交付対象額というので、これは5%ぐらいですね。

 これをもうちょっと細かく見ていくと、固定資産税については、理論上、土地の価格が極端に変動すると変動するんですけれども、あまり極端な想定をするというのは意味がないので、来年度予算では、納税猶予分とかは国が措置補填してくれますので、ほぼ変動はないと考えていいと思います。

 特別土地保有税及び法人事業税交付対象額については、これは調整科目のようなものですから、これも議論から除外します。

 次に、市町村民税法人分ですね。これが定額の部分である均等割と法人税額を基礎として課税される法人税割がありますが、基本的には法人の利益動向に左右されると考えていいと思います。

 これが、足元のデータが結構悪いんですね。例えば、財務省が公表している一般会計税収の2020年の4月から11月末までの累計値で見ると、法人税がマイナス15.7%ということになります。11月は3月期企業の中間納税のタイミングなんですね。その11月までの法人税というのは、コロナが直撃しているのが上半期ですよね。一番悪かった。そこの業績が反映されるので、ここが一番多分最悪なんです。それに伴って、今ちょうど悪いということになると思います。

 12月に公表された直近2020年7月から9月期の法人企業統計によりますと、全産業の経常利益は前年比マイナス28.4%ということになります。

 ただ、この減益というのも急にコロナでどんと落ちたわけじゃなくて、実はもう既に2019年の4月から6月期、から6四半期ずっと利益が落ちているんです。これまで。ですから、さっきも言いましたけれども、2018年の10月がピークでだあっと落ちてきて、2019年の消費税でまた落ちて、2020年のコロナが最後の駄目押しだった、こういう景気の状況だということが理解できると思います。

 つまり、足元の景気の局面がどこにいるかというのが鍵になるんですが、繰り返しますけれども、私は昨年の5月が底だったと思っています。景気の山、谷というのは、大体鉱工業生産の指数の山と谷と大体一致しているんですね。その数値が2018年の10月の105.6%がピークだったんですけれども、それがだらだら下がってきて、今年の5月にコロナで駄目押しをされて、78.7%ということで、ここが底だったんですね。これからじわじわ上がりまして、2月15日に発表された12月の速報値では既に97.3%ということで、相当回復をしているということが明るい兆候として見て取れると思います。

 つまり、鉱工業生産の谷から考える景気の底、第16循環がアベノミクス循環ですから、戦後第17景気循環のスタートは5月と仮定することができると思います。実際に、3月8日に内閣府が発表した景気動向指数の1月分の速報値では、CIの一致指数が前月差プラス3.5ポイントということになっていまして、文章でいう基調判断も「事後的に判定される景気の谷が、それ以前の数か月にあった可能性が高いことを示す」ということを意味する「上方への局面変化」ということで上方修正されているんです。これは私の定義じゃなくて、内閣府の公式発表の言葉の定義ということです。

 いろいろ申し上げましたけれども、大ざっぱに言うと、特別区税も特別区交付金も景気に1年から1年半遅行して変動するということ。景気循環から考えると、今年の税収減の傾向が今後も続くと考えるのは全く間違いで、税収は今が正に大底で、これから長期的に回復していくんだと考えるほうが自然だというのが私の主張です。

 文京区も是非景気動向をうまく捉えて、他の自治体に先駆けて、自信を持って将来への投資を進めていただきたいということが今回の私の質問でたった一つ、この1点ですけれども、申し上げたいということでございました。

 今日で総括質問全部終わりますから、ちょっと最後に一言言いたいんですが、コロナによる自粛疲れでしょうかね。社会が大変断絶して、みんなの心がささくれ立っているなと、そういうことを私は感じております。「正しさよりも明るさ」、これが我が会派のモットーの一つですから、この状況を大変憂いております。

 ここで、今まで他の会派の質問も伺ってきましたけれども、ほとんどの方々が前向きな質問ばかりで、さすが文京区議会だなと思いました。やはり今回の予算審査特別委員会は、区役所の仕事の粗探しをするんじゃなくて、いい仕事をきっちり評価して、将来の明るい文京区につなげると、そんな前向きな予算審査特別委員会にしたいと私も思っております。

 文京区役所の職員は公務員ですよね。残念ながら、公務員というのは、頑張ろうが頑張るまいが、給料はそんなに変わらないんですね。その中で、新型コロナウイルス対策に頑張って汗を流してくださって、仕事終わりの酒場での一杯も自粛して、日々新しい施策に挑戦してくれているという職員の皆様一人一人に、一住民として素直に感謝の気持ちで接したいというふうに私は思います。もちろん、正すべきところがあれば、びしっと厳しくやる必要がありますが、原理原則をただ振りかざすだけじゃなくて、その根底には多様な立場を理解し合うと、こういう寛容さも必要なんじゃないかと思っています。

 それでは、理事者の皆さんの明快なる御答弁に期待をしまして、質問を終わります。ありがとうございました。

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